室温28度設定:快適な湿度の重要性

室温28度は暑い?寒い?

この季節になるとエアコンの設定温度の争いが起きます。

「暑い!」という人がエアコンの設定温度を下げ、次は「寒い!」という人たちが設定温度を上げるのです。

その無限の繰り返しが夏の間行われます。

この無限の争いの原因は室温ではなく「湿度」です。

うまく汗をかける人は、28度でも暑くはありませんが、うまく汗をかけない人もいます。そういう人は28度だと暑く感じるわけです。

省庁職員・自治体からも28度で不満

省庁職員や自治体職員からも室温28度という値に対して不満が出ています。

「室温28度」あり?なし? 自治体不満、クールビズ導入20年目 良好な環境で効率よく仕事を

室温28度の根拠

結構たくさんの事業所やお店が勘違いしていることが「エアコンの設定温度を28度にしている」ことです。

エアコンの設定温度を28度にしても湿度が28度になるわけではありません。

政府がエアコンの設定温度を28度を推奨していると勘違いしている方も結構いらっしゃいますが、政府は「設定温度28度」を求めていません。

あくまでも「室温の目安が28度」です。

しかし、不思議なことがこの「28度」という数字はどこから着たのでしょうか?

  • 建築物における衛生的環境の確保に関する法律
  • 労働安全衛生法

どうやらこの法律が根拠となっているようです。

建築物環境衛生管理基準とは

建築物における衛生的環境の確保に関する法律に記載されている建築物環境衛生管理基準とは、「空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定める」と規定されており、高い水準の快適な環境の実現を目的とした基準を記したものです。

建築物における衛生的環境の確保に関する法律というのは、害虫などを発生させないための最低限の環境基準を記した法律であって、人間が快適に過ごすための基準ではありません。

建築物における衛生的環境の確保に関する法律では、室内環境を以下の値内にするように記載されています。

室温17度~28度
湿度40%~70%
建築物環境衛生管理基準

労働安全衛生法とは

労働安全衛生法は、労働者の安全と衛生についての基準を定めた法律です。

労働安全衛生法にも室温・湿度の基準が記載されていますが、建築物環境衛生管理基準と同一になっています。

室温17度~28度
湿度40%~70%
労働安全衛生法

上記の基準は、快適に仕事ができるための値ではなく夏場だと「熱中症にならないための基準値」となり快適な温度・湿度では無いことは言うまでもありません。

室温28度の問題点

28度と言われ始めた根拠になった、これらの法律は室温以外に「湿度」「気流」などの項目も含まれていますが多くの事務所やお店ではその辺りが無視されています。

特に「暑い」「寒い」に関係する「湿度」が無視されているわけです。

例えば室温が28度でも、湿度が70%でしたら「暑い」と感じる人は増えるわけです。

快適な室温・湿度

人間が快適と思う室温・湿度は色々なところがデータを出しています。

例えば、九州住環境研究会は以下のような表を公表しています。

温度・湿度と不快指数換算表
温度・湿度と不快指数換算表
不快指数と体感
不快指数と体感

不快指数というのは65~70の間が多くの人が快適と感じる環境という数値基準です。

75を超えると一定数が不快になり80を超えると全員が不快になると言われています。

日本人の場合は不快指数77から不快を感じる人が出始め85を超えると93%の人が不快と感じれれる数値です。

現在多くの事務所や店舗が頑なに信じている「28度」を見てみるとどうでしょうか?

室温を28度とすると「快い」の指数60~70にするためには、湿度を20%以下にする必要があることが分かります。

日本という高温多湿という環境では、夏場に室温を28度、湿度を20%以下にすることはとても現実的では無いです。

室温も大切だけど湿度を下げましょう

室内全員が「快適」と感じる環境を作ることはおそらく不可能です。

しかし、夏場に限れば湿度を下げることにより多くの人が「快適」という環境を作ることができます。

エアコン以外にも除湿機をうまく使い、エアコンの設定温度を下げすぎずに湿度を下げ節電にもつながっていきます。

「柔軟に対応」という丸投げではなく、温湿度による不快指数表が色々なところから発表されているわけですからそれを根拠にエアコン設定温度・除湿機の導入を検討してはどうでしょう?

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